妊娠が分かってから「妊婦 無料プレゼント」で検索すると、だいたい30件くらいのまとめ記事が出てきます。おむつ2枚、ミルクのスティック4本、ローションのサンプル。

全部集めても、たぶん数千円です。

その裏で、申請すれば10万円出る制度が、同じ時期に走っています。しかも自治体によっては、そこにさらに5万円や10万円が乗ります。

順番の話でしかないのですが、この順番を間違えると、数百円のサンプルに時間を使って、数万円のほうを取りこぼします。実際に調べてみて、いちばん危ないのは「もらい忘れ」ではなく、短い期限のものだけを後回しにしてしまうことでした。

33件を公式ページまで遡って調べ直したので、取る順番に並べます。

桁が違うのは、サンプルではなく自治体

2025年4月から、「妊婦のための支援給付」が法律にもとづく事業として全国で始まっています。以前の「出産・子育て応援交付金」が、制度として位置づけ直されたものです。

仕組みはシンプルです。

  • 妊婦給付認定を受けたあとに5万円
  • おなかの赤ちゃん1人につき5万円

単胎なら合計10万円、双子なら2回目が10万円なので合計15万円になります。

大事なのは、これが「気の利いた自治体だけがやっているもの」ではないということです。全国どこに住んでいても対象になります。「うちの市には出産のプレゼントなんてない」と思っている人がいちばん損をします。

ただし、申請の流れと期限は自治体ごとに違います。名古屋市の場合はこうです。

  • 第1回:妊娠届出後、1〜2か月で市から申請書が届く。期限は医療機関で妊娠が確定した日から2年
  • 第2回:妊娠32週相当を過ぎてから1〜2か月で申請書が届く。期限は原則、出産予定日の8週間前から2年

期限が「2年」なのは、産後の頭で締切に追われないための設計だと思います。ありがたい。ただし申請書が届いてから動く仕組みなので、引っ越しや里帰りで郵便が追いつかないときは、自分から自治体のページを見にいく必要があります。

横浜市は電子申請サービスで受け付けていますし、大阪市はオンラインと郵送の両方です。やり方は違っても、制度そのものは全国共通です。

→ こども家庭庁「妊娠・出産・子育て支援


住んでいる場所で、ここまで変わる

国の給付とは別枠で、自治体が独自に上乗せしている分があります。ここの差がいちばん大きい。代表的なものを並べます。

自治体 制度 内容
東京都 赤ちゃんファースト 10万円相当。2025年4月1日以降に生まれ、出生時に都内在住の子どもが対象
東京都 赤ちゃんファースト+ 3万円相当。2026年1月1日〜2027年3月31日生まれに追加。手続きは同じで、追加申請は不要
東京都 育児パッケージ 1万円相当。妊娠期に保健師などとの面接を受けた妊婦へ。品目は区市町村ごとに違います
名古屋市 BABY YELL! 最大5万円相当。おむつ、ミルク、ベビーカー、チャイルドシート、家事・育児サービスなどから選ぶ
神戸市 こべっこウェルカム定期便 初回に約120点から1つ選び、その後は月1回2品を最大10回
福岡市 おむつと安心定期便 0歳〜3歳の誕生月まで。対象者には順次、利用案内が届く。施設やサービスの利用で電子スタンプ→育児用品と交換
千葉県 チバテレ「はじめてばこ」 県内に住民登録があり、2026年4月2日〜2027年4月1日生まれが対象

東京都の赤ちゃんファーストは「018サポート」と同時に申請し、審査後にID付きのギフトカードが届いて、専用サイトからおむつ、ミルク、ベビーカー、家電、家事・育児サービスなどを選ぶ形式です。カードを受け取って放置するのがいちばん危ないので、そこは次の章に書きます。

神戸市の定期便は、金額が公表されていないぶん評価しづらいのですが、おむつとミルクを月1回、最大10回受け取れるというのは、消耗品の家計としてはかなり大きいです。ただし10回フルで受けるには、生後7か月までに申し込む必要があります。

福岡市の設計は少し毛色が違って、「一度きりのお祝い」ではなく、子どもプラザや産後ケア、産後ヘルパーを使うと電子スタンプがたまって、育児用品に換わるという形です。ものをもらうために外に出ることになるので、家にこもりがちな時期には効くかもしれません。

僕は名古屋市の北区なので、ここは実際に受け取った側として書きます。

BABY YELL! は、自分で給付申請をする制度ではありません。原則として、市からID・パスワードの案内が届きます。うちにも届きました。

中身はカタログギフトの形式でした。専用サイトに入って、5万円ぶんの枠を、好きなものに自分で割り当てていく。おむつやミルクのような消耗品に全部寄せてもいいし、ベビーカーやチャイルドシート、家事・育児サービスに使うこともできます。「これを配ります」ではなく「この枠から選んでください」という設計です。

国の給付とは別枠なので、名古屋市で単胎なら「国の10万円+BABY YELL! 5万円相当」という構造になります。

そして、ひとつだけ釘を刺しておきたいことがあります。

自治体独自の制度は、終わります。

いわき市には第1子5万円・第2子6.5万円・第3子以降8万円という独自の出産支援金がありましたが、国の制度が法定化されたことなどを受けて、2026年3月31日生まれの分で終了しました。

だから、この記事も含めて、まとめ記事を信用しすぎないほうがいいです。出産予定日の時点で、住んでいる自治体の公式ページを見る。それが唯一の正解です。


期限があるのは、ほんの数個だけ

調べていて意外だったのが、ここです。

無料サンプルの多くは毎月・毎週やっているので、逃しても次があります。本当に「逃したら終わり」なのは、数えるほどしかありません。

  • たまひよ「お祝いひよこクラブ」── 生後0〜1か月。新生児向けの情報誌と、「こども ビームス」コラボの肌着など。「まいにちのたまひよ」アプリから申し込みます。産後いちばん動けない時期に、いちばん短い窓が開いているという、なかなか意地の悪い配置です
  • 神戸市の定期便 ── 最大10回受けるには生後7か月までの申込み。最終的な申込期限は原則、生後1歳4か月になる月の末日
  • 東京都の赤ちゃんファースト ── カード受け取り後の初回登録と、その後6か月の商品申込期限。2026年度生まれの場合、申請期限は2027年9月15日、初回登録期限は2028年1月31日と案内されています
  • ピジョン「赤ちゃん誕生記念育樹」── 2026年生まれは2027年2月28日まで
  • チバテレ「はじめてばこ」── 出生前には申し込めません。生まれてから申し込む

最後のは「期限」というより落とし穴です。妊娠中に準備を済ませておこうとすると、これだけは申し込めません。

逆に言うと、覚えておくのはこれだけでいいということでもあります。ベネッセの「選べるおなまえシール」は2028年3月31日まで、GOO.Nのおむつサンプルは毎月、和光堂のミルクは毎週。急いで取る意味がありません。

産後の手続きの締切については、別に1本書いています。あわせてどうぞ。

産後の手続きで、本当に急ぐのは2つだけ(誕生日を入れて日付を並べるタイムラインも置いてあります)


「抽選じゃないもの」から先に取る

ここから先は民間の話です。そして民間のプレゼントは、条件を満たせば全員もらえるもの抽選のもので、価値がまったく違います。

まとめ記事はこの2つを混ぜて並べます。だから読んでいるうちに全部が同じ重さに見えて、応募疲れが起きる。実際に並べ直してみると、先に取るべきものは、そんなに多くありません

たとえばベビーカレンダーは、妊娠中ならエコー写真アルバムか母子手帳ケースを選べて、抽選ではなく条件を満たした全員です。購入もいらず、オンラインで完結します。逆に楽天ママ割のサンプルBOXは毎月400名の抽選で、当たらない前提で並べるべきものです。

同じ「無料プレゼント」の棚に置かれていますが、この2つは別の生き物です。

そして、もうひとつ混ぜてはいけないのが「実質無料」です。ベビーザらスの無料ストアツアーでもらえるクーポンは、2026年7月1日に「5万円以上で5,000円引き」から「3万円以上で3,000円引き」へ変わりました。3万円買わないなら、価値はゼロです。

にじパパTRANSMISSION

偉そうに書いていますが、つい最近もやりました。キャッシュバックにつられてApple Gift Cardを買って、あとから「そもそもAppleで買う予定、なかったな」と気づく。手元に残ったのは、要らない残高です。「無料」と「実質無料」を同じ列に並べると、こうなります。

件ごとの条件・期限・申し込み先は、記事に埋めると読めなくなったので、別のページにしました。確実性(全員/抽選/店舗/条件つき)と時期でしぼりこめます。

妊娠・出産でもらえるもの一覧(25件・公式ページへのリンクつき)


急がなくていいもの、取らなくていいもの

ここは、集めないほうがいいものの話です。

個人情報が対価になっているタイプ。カラダノートやmamanokoのような応募型キャンペーンは、応募時のアンケート内容によって、提携企業からの案内を受ける可能性があります。英語教材のサンプルや生協のお試し品が組み込まれていることもあります。

これは「悪いもの」という意味ではなくて、支払っているのがお金ではなく、電話番号と住所と、これから来る営業連絡だというだけです。数百円のサンプルと引き換えにそれを渡すかどうかは、人によって答えが違っていい。ただ、渡していることには気づいておいたほうがいいと思います。

保険相談・クレジットカード・電気の契約系。この3つは、はっきり別扱いにしてください。

楽天カードの新規入会は合計5,000ポイント、三井住友カードは対象キャンペーンで最大6,000円分(2026年7月23日〜9月30日)。保険相談では近江牛やタンブラーがもらえます。魅力的に見えます。

でも、保険料も、リボの手数料も、電気料金も、景品より桁が大きいです。もともと見直す予定があるなら、その結果として特典を受け取ればいい。プレゼントのために契約を増やすのは、順番が逆です。とくに電気は、キャンペーン額より毎月の料金差のほうが効くので、初年度特典ではなく年間総額で比べてください。

そして、もう終わっているもの。

定番として紹介され続けているゼクシィBabyは、2025年12月17日でサービスを終了しています。ハッピーマタニティBOXは、10商品を送料込みで無料という魅力的な企画ですが、公式ページは2026年8月14日時点でも「新規お申し込みを一時休止」の表示のままでした。

つまり、いま検索で上位に出てくる「妊婦無料プレゼント30選」の何割かは、すでに存在しないものを勧めています

対策はひとつだけです。リンクを踏む前に、その記事の更新日を見る。 そして申し込む直前に、公式ページ側の受付状態を見る。一覧のページには、止まっているものも「いまは取れない」として並べてあります。消すのではなく残しているのは、古いまとめ記事を見分けるための目印になるからです。


たぶん見落とすのは、この3つ

調べているうちに、「まとめ記事にはまず載らないのに、金額が大きいもの」が3つ出てきました。

1つめ。会社の規程。

多くの会社には慶弔見舞金や出産祝金の制度があります。これは法律で決まった全国一律の制度ではないので、会社ごとの差が極端に大きいです。第3子以降に大きく上乗せする会社もあります。

そして、就業規則を読まないともらえません。申請しないと出ない会社もあります。総務に聞くのが早いです。数千円のサンプルを探す時間で、こちらを確認したほうが確実に大きい。

2つめ。産院に含まれているもの。

産院の「記念品」は施設ごとの差が極端です。フランス料理のフルコースを出すところもあれば、産褥ショーツ、紙おむつ、おしりふき、へその緒ケース、足形、ベビー服、お祝い膳を用意するところもあります。

ここで大事なのは、これは「無料プレゼント」ではなく、分娩・入院費に含まれているサービスだということです。だから見るべきは記念品の豪華さではなく、こちらです。

おむつ・おしりふき・産褥用品・赤ちゃんの服が、入院費にどこまで含まれているか

これを産院に聞いておくと、買わなくていいものが分かります。隠れた数千円〜数万円の差がここにあります。出産準備リストを埋める前に聞くのが正解です。

3つめ。困っているときの窓口は、別にある。

セーブ・ザ・チルドレンの「ハロー!ベビーボックス」は、おむつ、洗剤、ベビーソープ、衣類、ガーゼ、体温計などが入った支援です。ただしこれは誰でも申し込める無料サンプルではありません。若年妊娠、学生、多子世帯、ひとり親、障害・疾病、生活上の困難などの要件と、所得の確認があります。募集も期間限定です。

低出生体重児のための肌着を扱っている団体もあります。身長30cm・40cm向けのサイズは、普通のお店では手に入りません。

必要な人に届くべきものなので、「無料プレゼント一覧」に混ぜて紹介するのは間違いだと思っています。でも、必要な人がここを読んでいるかもしれないので、名前だけ置いておきます。


結局、どの順番か

まとめると、こうなります。

順番 時期 やること
1 妊娠が分かったら 自治体に妊娠届。「妊婦のための支援給付」と自治体独自の妊婦向け支援を、同じ日に確認する
2 同じ週に ベビーカレンダー(全員・発送に1〜2か月)、アカチャンホンポ、西松屋に登録
3 妊娠中期〜後期 産院に「入院費に何が含まれるか」を聞く。3万円以上買う予定があるならベビーザらスのツアー。第2回の給付を確認
4 妊娠後期 会社の就業規則で出産祝金を確認。千葉の「はじめてばこ」は産後なのでメモだけ
5 出産直後 出生届と同時に、自治体の上乗せ制度。東京・名古屋・神戸・福岡は特に大きい
6 生後1か月まで たまひよ「お祝いひよこクラブ」を最優先。ミルポッシェ、ピジョンの記念育樹
7 落ち着いてから おむつ・ミルクのサンプル、名前シール、絵本。急ぐ理由がない

サンプルは最後です。逆にしないでください。

2〜7の民間の特典は、条件と期限と申し込み先を1件ずつ並べたページにまとめてあります。

妊娠・出産でもらえるもの一覧

まとめ

  • 金額が桁違いなのは自治体。全国共通の給付だけで単胎10万円。まず居住自治体のページを見る。
  • 住んでいる場所で数万円変わる。東京・名古屋・神戸・福岡は特に手厚い。そして独自制度は終わることがある
  • 期限が短いのはお祝いひよこクラブの生後0〜1か月と、自治体カードの初回登録まわり。それ以外は急がなくていい。
  • 抽選ではないものから取る。ベビーカレンダーは全員、オンラインで完結。
  • 保険・カード・電気は、もともと必要なときだけ。景品より長期コストのほうが大きい。
  • キャンペーンは速く変わります。申し込む直前に公式ページの日付と受付状態を見てください。

この記事の内容は2026年8月14日時点のものです。細部は自治体で違います。最終的には、お住まいの役所の案内が正です。

参考にした一次情報

この記事が扱っている公的な制度の出どころです。民間の特典の申し込み先は、一覧のページに1件ずつ置いてあります。

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